<   2014年 09月 ( 3 )   > この月の画像一覧

このブログを始めたのが今年の2月。それ以前の演奏会も折に触れ振り返ってみたいと思います。今日は2013年9月19日のロンドン交響楽団のコンサート。指揮ロビン・ティチアッティ、pf 内田光子。ロンドン、バービカンホール。

1) モーツァルト “ピアノのためのロンド K511”
2) モーツァルト ”ピアノ協奏曲第17番 K453”
3) Matthew Kaner ”The Caligrapher's Manusript”
4) ドヴォルザーク “交響曲第5番”

なんといってもモーツァルトのピアノ協奏曲が記憶に残るような名演でした。終わったあと思わず涙が出るほど。曲が終わったあと一緒に行った妻の方を見たら、彼女も目頭を押さえていました。

内田光子さんのピアノは粒立ちが良く、fffもpppもクリアに美しく情感たっぷりに響きます。そしてオーケストラと一体となって、モーツァルトの世界を描きます。さらに、出てくる音楽のなんと生き生きしていることか。30年ほど前のテイト&イギリス室内管との全集では、なんとなく日本人的な丁寧で控えめな感じをしていましたが、この日の演奏は、内田さんのpfも、ロンドン響の面々も熱いこと、熱いこと!お互いに火花がバチバチ、丁々発止のやり取りを繰り広げ、モーツァルトの音楽が自発的に即興的に沸き上がってくるような、作曲者本人が目の前で飛び跳ねて遊び転げているような演奏でした。第1楽章の愉悦性、第2楽章のしんみりした陽と陰の織り成す情感、第3楽章のスリリングなかけあい、K453てこんなに面白い曲だったけ、と再認識させれらました。この演奏を聴いたら、17番も20番以降の名曲と比べても決して遜色ない名曲です。

内田さんはロンドンのファンに大人気。絶大な拍手を浴びていました。またロンドン響からも絶大な信頼を得ていて、ロンドンはまさに彼女の家の庭なのでしょうね。

ロンドン交響楽団も素晴らしいです。最近聞いたコンセルトヘボウ管やクリーヴランド管のように美しいとまでは言えないのですが、どの楽器もくっきり、一人一人がどんな音を出しているのかわかるほど見通しが良いのです。自己主張の強いオケとも言えます。各奏者が伸び伸びと自由に音楽を発している、その自発性と絡みが実に面白い。まさに、ロック発祥の地ロンドンにふさわしいパンクなオーケストラと言えます。一方この日のように、その特徴を発揮しながら指揮者がきちんとコントロールしたときは、いろんな楽器のそれぞれの要素が複雑に絡み合って楽曲が構成されていることが、あたかも目の前でオーケストラスコアを読んでいるかのように、明瞭にわかります。本日のような、ピアニストとオケが互いに熱いやり取りをするような演奏にはぴったり。クリーヴランド管の精緻でピュアで室内楽的な音樂作りとは真逆のオーケストラです。この日は、そのおかげで、モーツァルトのオーケストレーションがとても革新的であったこともよくわかりました。

指揮者のロビン・ティチアッティは、昨年亡くなったコリン・ディヴィスの代役。ロンドン響をよく鳴らしてその良さを十分に引き出し、しかもパンク過ぎて破綻しない様ツボを抑えてオケをリードしていました。日頃は聞く機会のないドヴォルザークの5番も面白く聴かせてくれました。まだ若いのですが、グラインドボーン音楽祭にも登場するほど。将来が楽しみです。

なお、同じピアノ協奏曲を、ハイティンク、ピリス、ロンドン響の組み合わせで昨年2月に聞きましたが、こちらはちっとも面白くなかった。ピアノソロが全くぱっとせず、K453ってこんなに退屈な曲だったのかと思ったほど。この対照は改めて内田光子さんの偉大さを認識させてくれました。


★日本ブログ村ランキングに参加しています。
是非1クリックお願いしますね!↓

にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へにほんブログ村 クラシックブログ クラシックコンサート・演奏会感想へにほんブログ村 演劇・ダンスブログ バレエへ
にほんブログ村

b0319432_04220171.jpg

[PR]
by amati701 | 2014-09-29 04:27 | 音楽
プロムス68 9月7日ロイヤル・アルバートホール、ケンジントン、ロンドン
指揮:フランツ・ウェルザー=メスト、管弦楽団:クリーヴランド管弦楽団
1) ブラームス、“大学祝典序曲”
2) Jorg Widmann、“Flute en Suite”(イギリス初演)
3) ブラームス、交響曲第1番
b0319432_07261837.jpg
本年2回目のプロムス。クリーヴランド管は初めて聴きますが、ひたすらニュートラルでピュアな音。各奏者の音程も音色もリズムもぴったりで、こんなに揃っているオケは初めてです。揃っているからピュアで美しい音が生まれるんでしょうね。ヨーロッパの大陸のオケのような香りあるいは色気のある美しさではないけど、巷で言われているような「筋肉質」との評とは異なる、ピュアな美しい音色は独特で感動しました。どのパートもやや控えめで、目だとうということはしないですが、音の重なりがクリアに聞こえます。各パート目立ちたがりでパンクなロンドン交響楽団とは真逆のスタイルです。

ウェルザー=メストはやや早いテンポながら、さらっと流すことなく、楽譜に忠実に細部まできっちり克明に表現。音量で威圧することはなく、ブラームスの情感に外側からアプローチすることもしません。むしろ大人しいくらいだけど、室内楽的で精緻な演奏。それがピュアなオケの音色とあいまって、ブラームスの音楽の本質に直接的に迫り楽曲そのものの美しさを忠実に再現してるかのようでした。控えめなのにロマンチシズムにも溢れていて、まるで「作曲家の音樂に忠実に奉仕することが最高の表現であり、演奏家の使命である」とでも言っているかのようでした。私は、バーンスタインの思い入れたっぷりの熱いブラームスが大好きなのですが、このようなブラームスも良いかなと思いました。

Flute en Suiteのソロを吹いたフルーティストは、このオケのトップのジョシュア・スミスで相当の名手、木管の楽器を操ってました。この曲のあとブラ1ではトップに座るという超人ぶりでした。

クリーヴランド管は、セルやドホナーニの時代には、精緻で余分な贅肉を削ぎ落として筋肉質な音色で硬派の音楽、という評判だったと思います。今夜の演奏は精緻ながら、美しさ満ち溢れた柔らかい音楽。セルの音楽も実演はひょっとしたらこんなだったかもしれません。

★日本ブログ村ランキングに参加しています。
是非1クリックお願いしますね!↓

にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へにほんブログ村 クラシックブログ クラシックコンサート・演奏会感想へにほんブログ村 演劇・ダンスブログ バレエへ
にほんブログ村
b0319432_07264897.jpg


[PR]
by amati701 | 2014-09-17 07:30 | 音楽
2014年9月5日 プロムス64:
サイモン・ラトル指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ロイヤル・アルバート・ホール
1) ラフマニノフ:“シンフォニック・ダンス(交響的舞曲)”
2) ストラヴィンスキー:バレエ音楽 ”火の鳥”
プロムス。“威風堂々”を歌って大騒ぎする有名なシーンは実は最終日のイベントで、プロムス自体は7月から2ヶ月にわたり内外の演奏家やオケが共演するれっきとした音楽祭である。今年の目玉はなんといっても、サイモン・ラトル指揮、ベルリン・フィル。

b0319432_07532930.jpg
世界最高峰にふさわしく素晴らしい演奏であった。音色は華麗にして芳醇、そして繊細で変幻自在。アンサンブルもぴったりでロンドン交響楽団の時のようご愛嬌の乱れは全く見られない。個々のメンバーの技量がソリスト級なのは言うまでもないことだが、全体のバランスも完璧で驚愕。重厚な低弦は強力に支えるが決して重苦しくならずむしろ雄弁。管は見事な音で魅了するのに決して出しゃばらない。

そして、ラトルの統率感とオケへの信頼感が抜群で、音樂を完全にコントロールしているのだが、オケもラトルや他の団員と会話しながら自発的に音楽を奏でる。奏者ひとりひとりの音楽に対する愛情まで感じられる楽曲創りである。どこをとっても美しくかつ逞しく、完璧なプロポーションで、しかも人間的な表情に満ちあふれていて、まるでギリシャ時代の神々の彫刻を見ているようであった。

b0319432_07535322.jpg
今回の2曲、日頃はCDでなにげに気楽に聴いているのだが、こうして彼らの実演を耳にすると、20世紀初頭の現代音楽としての革新性が十分に楽しめる。

英国人のサー・ラトルは聴衆から大歓迎。登場時からブラボーの嵐で、終演後は大拍手が鳴り止まない。イギリスのコンサートでは珍しくアンコール(マノン・レスコーの間奏曲)を演奏するサービスぶりであった。

オケのメンバーの中に、fl のアンドレアス・ブラウを見つけた。カラヤン時代から首席の役を担った人で、EMIのカラヤンのモーツァルト協奏曲全集での fl 協奏曲は高校生の頃から幾度となく聴き、忘れられない名演であった。今回は木管の fl を使い、相変わらずの美しく素晴らしいソロを聴かせてくれた。今年で定年退職とのこと、寂しい限りである。

★日本ブログ村ランキングに参加しています。
是非1クリックお願いしますね!↓

にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へにほんブログ村 クラシックブログ クラシックコンサート・演奏会感想へにほんブログ村 演劇・ダンスブログ バレエへ
にほんブログ村
b0319432_07541560.jpg

[PR]
by amati701 | 2014-09-10 07:58 | 音楽