カテゴリ:オペラ( 4 )

1月10日、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団演奏会。ウィーン楽友協会黄金のホール。指揮:アンドリス・ネルソンス。この日のメインは先に書きましたベートーヴェンの英雄。しかしもう一つの目玉が、オッテンザマー父子子3人による Iván Erödのクラリネットのための三重協奏曲、世界初演です。
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父エルンストは、ウィーンフィルで30年以上もの間首席をになっている名手。私が昨夏、ザルツブルグとプロムスでウィーンフィルを聴いた時も、トップはこの人だったと思います。兄ダニエルは2009年からウィーンフィルの首席奏者として活躍しています。そして弟アンドレアスは2011年によりベルリンフィルの首席奏者についています。昨年冬のベルリンフィルのロンドン公演時には、シベリウスの交響曲第1番冒頭の素晴らしいソロで聴衆を引きつけていました。アンドレアスはアンサンブル・ウィーン=ベルリンのメンバーでもあり、イケメン若手クラリネット奏者としてマークされている方も多いかと思います。

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この親子、クラリノッツという3人のアンサンブルグループとしても活躍しています。過去に来日公演を聞かれた方もいらっしゃるでしょう。本日のトリプル・コンチェルトは、このクラリノッツのために作曲された曲だそう、この日が世界初演、作曲者のErödさんも曲が終わると舞台に登場していました。音楽語法としては保守的なもので、20世紀後半以降の現代奏法をほとんど使われていませんでしたが、クラリネットの技巧と魅力を十分に引き出し活用するものでした。2楽章の静かで深遠な世界は、モーツァルトを意識したのではと思わせるようでした。
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そして、このオッテンザマー父子3人、当たり前ですがめちゃ上手いです。父エルンストは、滋味豊かな音色でアンサンブルを支えます。しかしウィーンフィルの名物プレーヤーもこの日ばかりは息子達に押され気味、主役の座を譲っていました。兄ダニエルのクラリネットは貴公子のように美しく気高く毅然としています。テクニックも抜群。弟アンドレアスは3人の中にいると少々やんちゃ振りを発揮。自由自在な表現でスケールの大きさが伺えます。
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何より面白かったのは、超ハイレベルの音楽を通した父子の会話。父親はハラハラしながら息子たちの成長に目を細め、兄はここぞとばかり長兄の貫禄を存分に発揮、弟はこの日ばかりは末っ子らしい奔放ぶり。皆それぞれの見せ場が終わったときに「どうだい、ちゃんと出来ただろう?!」と言わんばかりに他のふたりに合図を送るそのドヤ顔ぶりは、とても微笑ましいものでした。

アンコールは3人でコパカバーナ。こういう曲は弟アンドレアスの乗りのよさが目立っていましたが、父も一生懸命ポップスのリズムに乗っていました。

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by amati701 | 2016-01-24 06:55 | オペラ
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2015年3月7日、英国ロイヤルオペラハウス公演
タミーノ:Pavol Breslik、パパゲーノ:Markus werba、夜の女王:Snna Siminska、
パミーナ:Christiane Karg、ザラストロ:Georg Zeppenfeld
指揮:Cornelius Meister、ロイヤルオペラハウス管弦楽団
Royal Opera House, Covent garden, London


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ロイヤルオペラは昨年5月のフィガロの結婚に続いて2回目。このフィガロのときは、歌手のレベルに差があり、さらに歌、指揮者、オーケストラ、いずれの呼吸も合ってなく、実は少々がっかりしました。今回の魔笛ではどうなることやらと観劇したのですが、心配ご無用。歌手は粒ぞろい、オケも普段と異なり締まった演奏で、歌手との息もぴったり、モーツァルトの死の間際の明るく透明な音楽を堪能しました。

歌手で最も素晴らしかったのは、パミーナのChristiane Karg。圧倒的な美声と歌唱力であたかも主役の座を奪ったかのような活躍で聴衆の拍手も最大でした。ザラストロのZeppenfeld、パパゲーノのWerba、タミーノのBreslikの存在感あふれる歌唱も絶品。もちろんSiminskaの夜の女王のアリアも素晴らしかったですが、やや線が細かったかも。

舞台装置の見事さ・美しさは目を見張るものがあります。また、演出にも工夫が見られ、夜の女王は最初に出てきた時から悪役とわかるメイク。ストーリーを少しでもconsistentにという狙いでしょう。タミーノ、パパゲーノ、パミーナの出で立ちは現代風。

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そして極めつけはパパゲーナです。最初の老婆姿ではミニスカートに毛皮のコート、そして茶髪カツラ、サングラスのイケイケヤンキーおばあちゃん、若い娘に変身したときは、ボディコン姿。しかも、「パパパの二重唱」では、やおらソファが舞台に持ち込まれ、その上でパパゲーノとパパゲーナが、いちゃつきながら愛を確かめ合い、その周りを将来の子供たちが眺めているという際どい設定。そのほかにも随所で笑いを取る仕掛けがあり、吉本新喜劇のようなノリが見られました。

オペラのチケットは英国でも高く(バレエよりもだいぶ高い)、そう度々とはいけません。貴重な「魔笛」でしたが、音楽性、娯楽性、舞台芸術性、どれも揃った公演でした。

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by amati701 | 2015-03-16 09:26 | オペラ

2014年7月29日、グラインドボーン音楽祭、モーツァルト 歌劇”ドン・ジョバンニ”

指揮:Andres Orozco-Estrada、 管弦楽:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ドン・ジョバンニ:Elliot Madore、レポレロ:Edwin Crossley-Mercer、
騎士長:Taras Shtonda、ドンナ・アンナ:Layla Claire、
ドン・オッタヴィーオ:Ben Johnson、ドンナ・エルヴィラ:Serena Farnocchia、
ツェルリーナ:Lenka Machikova、マゼット:Brandon Cedel

モーツァルトの歌劇で有名なグラインドボーン音楽祭。ロンドンの南の郊外、車で2時間ほどのLewesという町の近くの田園の中で開かれる、夏の風物詩である。今年の演目は、ばらの騎士、エフゲニー・オネーギン、ドン・ジョバンニ、偽りの女庭師、トラヴィアータ、リナルド。3月からweb予約し、ドン・ジョバンニを観てきた。

演出は現代風であり、登場人物は今風服装で登場する。ドン・ジョバンニが騎士長を殺害する場面は、殴り合いがエスカレートしナイフで刺してしまうという設定。クライマックスのディナーでは、楽団でなくレポレロがラジカセを操作していろんな音楽を聴かせる。舞台はシンプルながら、舞台芸術として非常に凝ったものになっている。

さて、オペラそのものだが、伝統ある音楽祭の名に恥じない素晴らしいものだった。歌手は皆粒ぞろい、各々見事なアリアを聞かせてくれた。特にドンナ・アンナのLayla Claireが圧倒的で高音から低音まで艶やかな通る声で父を殺された娘の情念を見事に表現していた。ツェルリーナのLenka Machikova、マゼットのBrandon Cedelも勝るとも劣らない歌唱で、このオペラの喜劇としての一面を見事に彩っていた。

アンサンブルとしての音楽も見事で、歌手とオケがぴったり、モーツァルトの音楽の深さも十分堪能できた。上手いなぁと思っていたら、ロンドン・フィルであることがわかり納得。コヴェントガーデンのロイヤルオペラハウスのオケが、いつもどうも締まらないので、その違いが際立つというものである。

ということで、期待通りのオペラだったグラインドボーン初体験だったが、予約後服装は「準正装いわゆるBlack tie(タキシードに蝶ネクタイ)が標準」であることが判明。皆さん、英国風のおしゃれをして開演前は広い庭園でピクニックを楽しむ。また、2時間近くもある幕間に会場のレストランでディナー。急遽貸衣装でタキシードを用意し、英国上流階級の雰囲気を味わった。

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by amati701 | 2014-08-10 06:24 | オペラ
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5月7日:Royal Opera House, Covent Garden, London
指揮:David Syrus
フィガロ:Alex Esposito、スザンナ:CamilaTilling、伯爵:Gerald Finley、伯爵夫人:Rebecca Evans、
ケルビーノ:Anna Bonitatibus、バルトロ:Christophoros Stamboglis、マルチェリーナ:Marie McLaughlin

筆者にとって初オペラ。オペラはやはりストーリーと歌詞を勉強しなくては構えてしまうので、他の作曲家のものはCDでもあまり聞いていないが、モーツァルトのオペラは大好きである。

ストーリーは滑稽なのに、モーツァルトのオペラとなるとスリル満点、笑いあり涙ありのヒューマンドラマになるから不思議なものだ。極上の音楽が推進力となってドラマの展開をリードして行くのである。そして、人の声の素晴らしさにも改めて感動した。定番のアリアも良いけど、重唱は最高である。様々なモチーフが次から次に万華鏡の如く繰り出され、まるで彼の20番以降のピアノ協奏曲を聞いているかのようである。そして、それが登場人物の心の揺らぎや動作とピッタリ合うのだから、オペラでこそ複雑の人々の複雑な心の移り変わりを表現できるということを、舞台を生で聴いて初めて実感できた。特に、マルチェリーナがフィガロの母親だと判明する場面や、伯爵夫人が伯爵を許すフィナーレの場面(映画「アマデウス」でも有名ですね)は感動し涙が出そうになった。モーツァルトの音楽そのものが等身大の人間の微妙で複雑な心情を反映していることを思えば、そうしたことは当然のことであろう。

歌手は最近フォローできていないので有名な人かどうかはわからないが、いずれも素晴らしかった。特に伯爵のGerald Finley、フィガロのAlex Espositoの声には痺れた。ケルビーノのAnna Bonitatibusも印象深かった。オーケストラは今日はよく締まっていて、生き生きとモーツァルトの世界を表現していた。今まで筆者が経験している限りでは、バレエの時は(もちろん演奏は素晴らしいのだけれども)どうも一杯引っ掛けているのではと思わせるようなところが節々あるのだが、今日はそれはなかった。ただし、歌とのアンサンブルが時おり乱れていたのがちょっとだけ残念である。歌い手あるいは楽団員からは、音楽のリズム感がやや掴みにくかったような気がする。指揮はDavid Syrusという人だが、元々は故Colin Davisの予定だったそうである。残念なことであったが、Colin Davisのモーツァルトを聞きたかったものだ。

もうひとつ面白かったのは、会場の皆さんがとても楽しんで観劇をしていたことだ。しばしば、ミュージカルのように結構声を出して笑っていた。吉本新喜劇のようなお決まりのツボがあるだろうか?

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by amati701 | 2014-05-12 04:49 | オペラ